シェアーズ通信

短期トレードにおける米国株・ETFの注目銘柄等を紹介しています。

短期トレード入門 - 戦略:順張りと逆張り

SMBC日興証券の「初めてでもわかりやすい用語集」から抜粋すると、順張りは次の通り説明されています。

 

「順張り:株価が上昇・下降トレンドにあるときに、そのトレンドに乗っていくというような投資スタンスです。一方、株価などが下落しているときにあえて流れに逆らって買うような手法を「逆張り」といいます。」ー 参照元リンク

 

この順張りの定義によると、投資スタンスは上昇・下降トレンドをどう定義するかに依存することになります。次図ではAppleの株価チャートを200日移動平均線と共に示しています。例えば、次図白矢印の短期的に下落している局面で買うことは一般的に逆張りと呼びそうですが、もし株価が200日移動平均線の上に位置していることを上昇トレンドと定義している場合には投資スタンスは順張りとなります。したがって上記用語集の説明でこの状況は順張りかつ逆張りになってしまいます。

 

Apple Inc. (AAPL, MA(200))

Apple Inc. (AAPL, MA(200))

このように各人のトレンドの定義によって投資スタンスの認識が異なってしまい、これにより誤解が生じる可能性があるため、当ブログでは次のように投資スタンスを定義します。

 

順張り:直近の株価上昇局面で買う。または下落局面で空売りする。
逆張り:直近の株価下落局面で買う。または上昇局面で空売りする。

 

したがって、上例では白矢印直近の株価下落局面で買っているため、投資スタンスは逆張りとなります。次に各投資スタンスの特徴をまとめます。

 

順張り
  • 多数派の流れに乗るため、トレンドフォローとも呼ばれる。トレードにおける基本戦略と言われる一方、時代遅れの戦略と言われることもある。
  • 優秀な戦略で勝率は30%程度。残り70%は負けるにも関わらず利益が出せるのは損小利大(損失より利益の方が大きい)になるような取引を目指すため。損小利大にするには含み損の出ている銘柄は素早く手仕舞いし、含み益が出ている銘柄はできるだけ長期間保有して利を伸ばすようなトレードをする。ただし、損切り水準と現在株価の距離が近すぎると頻繁に損切りされることになり、総計しても損失が大きい状態、俗に言う損切り貧乏になってしまう。
  • 仕掛けた直後に値動き反転(高値掴み/安値掴み)する可能性がある。特に株式は行き過ぎを元に戻す動き(平均回帰)がよく見られ、高値掴み/安値掴みする可能性は高い。例えば、トレンドフォローの代表的戦略であるチャネルブレイクでは、抵抗線ブレイク直後に値動き反転する、通称ダマシの動きがよく見られる。
  • 多数派側に立つため、人によっては精神的に安定して取引できる。
  • 利益を大きくするにはトレンド発生の初期に仕掛ける必要がある。しかし、トレンド発生を判断するのは非常に難しい。特にもみ合い相場でこの戦略は機能せず、損切りの設定水準にもよるがこのような相場つきでは損失を重ねることになる。そのため、トレンドが十分発生した後、一時的な押し/戻り局面で仕掛ける戦略(押し目買い/戻り目売り)もある。
  • 勝率が低く連続して負ける確率が高いため、資産の一時的な落ち込み(ドローダウン)が大きくなり、資産曲線が滑らかに推移しない傾向にある。

 

逆張り
  • 短期的な流れに逆らうため、カウンタートレードとも呼ばれる。敗者の戦略と呼ばれることもある。
  • 優秀な戦略で勝率は60%程度。損大利小になる傾向にある。数回の取引でコツコツ利益を積み上げて、1回の取引で積み上げた利益以上の損失を出してしまうこともある(通称、コツコツドカン)。
  • 反転を期待して仕掛けた後、反転せずにそのままトレンド入りしてしまうことがある。例えば、RSI等に代表されるオシレーター系インジケーターでは、トレンド入りによって下限値/上限値近く(底/天井)に張り付いてしまうことがよく見られる。
  • 損切り水準の設定が難しい。反転する可能性の高い状況で仕掛けているため、損切り直後に株価が急反転することが度々起きる。
  • 少数派側に立つため、人によっては精神的に疲弊することがある。
  • 勝率が高いため、優秀な戦略ではドローダウンが小さく、資産曲線が滑らかに推移する傾向にある。

 

どちらの投資スタンスを採用するかはバックテスト(+フォワードテスト)の結果だけでなく、自身の性格やライフスタイル等も加味して決定するのが良いかと思います。ただ、私のオススメはどちらと決めず、順張り系と逆張り系の両戦略をハイブリッドでバランスよく運用することです。順張り戦略が機能していない相場つきでは逆張り戦略が機能する傾向にあり、逆もまた然りです(投資スタンス間で相関が小さい)。ハイブリッドで運用すると一種のリスクヘッジになります。両投資スタンスで同時に運用すると資産曲線がより滑らかに推移する傾向にあります。また、投資スタンスに関わらず、長期トレンドには逆らわずに取引するとエッジが高くなります。

 

Michael W. Covel氏の著書「Trend Following, 5th Edition」等でも述べられていますが、各投資スタンスの中の機能する"戦略間"での相関がある傾向にあり、どの戦略を採用しても似たような成績になります。