シェアーズ通信

短期トレードにおける米国株・ETFの注目銘柄等を紹介しています。

短期トレード入門 - 戦略:裁量からシステムへ

自らの判断に基づいて売買することは裁量トレードなどと呼ばれ、このスタイルでは第六感や感情などの論理的でない判断、一貫性のない判断がトレードに反映される可能性があります。一方、自らの判断をできるだけ排除し、定量化された売買ルールに従って売買することはシステムトレードなどと呼ばれ、論理的でない判断がトレードに反映される可能性を裁量トレードに比べて大幅に小さくすることができます。

 

私はシステムトレードを全面的に支持しています。裁量トレードにおける判断材料は既存のテクニカルインジケータ等を駆使して基本的に全て定量化することができ、裁量トレードにおける優位性の部分をシステムトレードでも再現することができるからです。例えば、感覚的に下記のような条件を満たす銘柄について押し目買い裁量トレードをしていたとします。

 

  1. 長期的時間スケールにおいて株価が上昇トレンドである。
  2. 短期的時間スケールにおいて株価が右肩上がりでトレンドを形成している。
  3. 押し目(一時的と推測される株価の下落)を形成している。ただし、深すぎる押し目は下降トレンド入りの可能性があるため取引対象外とする。

 

この裁量投資判断を理想的な形で再現しているチャートを見つけ、これを定量的に言い換えてシステムトレードに変換すれば良いのです。例えば次図、SPY(SPDR S&P 500 ETF)のチャートのような押し目を理想形とします。

SPY(日足, 2019/1/11-3/7)

SPY(日足, 2019/1/11-3/7)

どのツールを使うかは各人の好みにもよりますが、ここでは上記の裁量判断を次のように定量的に読み変えることにします。なお、ここでのインジケータやパラメータは私が適当に選んだものであり、これがエッジのある戦略か否かは検証していないことに注意してください。

 

  1. 株価が200日間移動平均線より上に位置している:「Close > MA(200)」
  2. 40日間線形回帰(終値ベース)の傾きが0.5より大きい:「Linear Regression Slope(40) > 0.5」
  3. 10日間RSIが50より小さく、かつ終値が40日間指数平滑移動平均線より上に位置している:「RSI(20) < 50」かつ「Close > EMA(40)」

 

SPY(日足, 2019/1/11~3/7, MA(200)+Lin Reg(40)+RSI(10)+EMA(40))

SPY(日足, 2019/1/11~3/7, MA(200)+Lin Reg(40)+RSI(10)+EMA(40))

これらルールを全て満たしている銘柄を抽出するStockFetcherのフィルターは次のようになります。

 

2019/03/16におけるこのフィルターの抽出銘柄の一つ、ERIE(Erie Indemnity Company)のチャートは次図です。適当にインジケータとパラメータを選んだ割には上図、SPYが描いているパターンによく似ているかと思います。フィルターで抽出した銘柄の中でチャートがSPYと同じような形になっているものを意図的に選んでいるので実は少しずるいのですが・・・。このフィルターで抽出した銘柄全てがこのような理想とする形に近いパターンを描く訳ではありません。使用するインジケータや期間パラメータをもう少し研究すれば、さらに精度よく銘柄抽出できるようになると思います。

  

ERIE(日足, 2019/1/9-3/15, MA(200)+Lin Reg(40)+RSI(10)+EMA(40))

ERIE(日足, 2019/1/9-3/15, MA(200)+Lin Reg(40)+RSI(10)+EMA(40))

 

また、巷にある順張り系戦略の情報では、次のような定性的な文言をよく目にします。

 

  1. 直近高値の少し上に逆指値の新規買い注文を入れる(注文方法)
  2. 直近安値の下に余裕を持たせてストップ注文を入れる(損切設定)
  3. トレンドの終わる兆しがあったら清算する(手仕舞い方法)

 

これらについても定量化すべきだと私は思います。例えば次のように。

 

  1. 直近高値に0.2×ATR(10)加えたレートに逆指値の新規買い注文を出す(注文方法)
  2. 同時に注文レートから4×ATR(10)引いた価格にストップ注文を出す(損切設定)
  3. 約定後の新高値から4×ATR(10)引いた価格へストップ水準を逐一動かす。このトレーリングストップで手仕舞いする。(手仕舞い方法)

 

裁量判断の全てをシステム化(定量化)する恩恵は、トレードに一貫した結果をもたらすだけではありません。システム化するとバックテスト等で戦略のパフォーマンスの評価もできるようになります。例えば、この戦略の各パラメータを次のような変数(x, y, z, m, n, a, b, c, d)で置き換え、パフォーマンスが最大になるようにこれら変数を最適化したパラメータセットを探索することもできるようになります。

 

押し目判定ルール

  1. Close > MA(x)
  2. Linear Regression Slope(y) > a
  3. RSI(z) < b、かつ、Close > EMA(m)

 

注文方法

  1. High + c × ATR(n)に新規逆指値注文

 

手仕舞いルール

  1. High + c × ATR(n) - d × ATR(n)にストップ注文
  2. New High - d × ATR(n)でトレーリングストップ

 

繰り返しになりますが、ここでのインジケータやパラメータは私が適当に選んだものであり、これがエッジのある戦略か否かは検証していないことに注意してください。また、本来はここに書いたような売買ルールに加え、「株式をどれだけの数量保有するか」という資金管理も必須となります。